読書感想文⑥です。
webちくまに掲載されている堀越英美さんの「あなたの悩み、世界文学でお答えします」で知り、読んでみた本です。右上に青いお城が描かれ、空は水色、森も少し青みが買った緑です。森の道をお城に向かって進んでいく赤いドレスの女性がいます。表紙の絵も素敵です。
「赤毛のアン」を書いた作家としてモンゴメリを知ってはいましたが、大人向けの本も書いていたのですね。知りませんでした。「赤毛のアン」は最初の1冊しか読んでいません。シリーズがたくさん出ているのは知っています。本来私が「赤毛のアン」を読むべきだった子どもの頃は「あさりちゃん」や「天使なんかじゃない」「幽遊白書」に負けてしまって読まれなかったけど、今の私なら楽しく読むことができるのかしら。
29歳のオールドミスのヴァランシーが幸せになるまでのお話です。ハッピーエンドと知っていたので安心して楽しく読めました。29歳で独身なだけで後ろ指差される世界って嫌ですね。自分の読む本も時間の過ごし方も、かかる医者も選べないなんて息が詰まりそうです。働くことも禁止。老後は親族からの遺産で生きていかなければならないため、自分をバカにするムカつくおじさんにも何も言い返せないヴァランシーにイライラもするし気の毒にもなります。だからこそ余命1年と知って自由奔放に振る舞うヴァランシーがとても魅力的でした。私はつい将来のことを考えて心配したり不安になったり悩んだりしてしまいます。先のことを見通すとか自分の将来について考えるって良いこととされてるけど、そのせいで今をないがしろにしてはいけないと思います。将来は今の延長線上にあるのだから、今が楽しくないなら将来もきっと楽しくないのです。先のことを考えるのは大切だけど思い悩むのは違うんだろうな。今どんなに悩んだって先のことはその時にならないとわからないのです。先の心配をやめて自分の心のままに振る舞うヴァランシーを見ると、今を大切にしようと思えました。
だけどそのバランスってとても難しいです。明日死んでも悔いのない生き方をとか言われても明日は死なないし毎日明日はやってくるし、だからこそみんな行きたくもない仕事や学校に行くんですよ。明日死ぬなら行かないもの。・・・明日死ぬとわかってても今日やりたいと思える仕事をしている人は幸せなのかもしれませんね。私は死ぬ前日に働くなんてごめんですが。伝える能力のない私が子どもに話したら「今さえ良ければいいのか!?うえーい!」って勘違いさせそうですね。伝えるって難しいです。
最後がちょっとハラハラしたけどハッピーエンドで良かったです。大人向けかもしれませんが子どもでも楽しく読める本だと思います。うちの子が本を読む子なら、一緒に読んで話ができたんだろうな。でもこれは仕方ないですね。
他の本も読んでみたいと思える面白さでした。こんなにあるんですね~。
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