間の悪いスフレって本知ってる?

やもい書房

間の悪いスフレ

近藤史恵さんの本よ。シェフは名探偵シリーズの4作目ね。私ね、近藤史恵さんのこのシリーズだけは全部読んでるわ。それで調子にのって近藤史恵さんの他の本も読もうとして脱落したのは苦い思い出よ。近藤史恵さんの名誉と私の保身のために言い訳をさせてもらうと、当時の私は読む気がしなかったってだけなのよ。つまらなかったわけではないの。旅行?かなんかの内容だった気がするわ。出不精な私は心惹かれなかったのよ。今また挑戦すれば引き込まれたりするのかもしれないわね。

シェフは名探偵シリーズにはまってしまうのは私が食いしん坊だからかしら。世間知らずな私は名前を聞いてもイメージできない料理名や食材がたくさん出てくるんだけどね、それでも読んでいるとワクワクしたりお腹がすいてくる話なのよ。食欲に読書欲が負けて読んでられないのでは?って心配はいらないわ。私でも負けなかったから大丈夫よ。この一冊に7つのお話が入ってるの。それぞれ独立した話なんだけど読み始めると止まらなくなるのよ。前回のお休みに朝にコーヒー飲みながら少しだけ読もうかなって読み始めて、7つのお話を一気に読んだわ。本当はコーヒー飲み終わったら朝に掃除して午前中に買い物に行こうって思ってたんだけど止まらなくてね。掃除は午後になったし買い物は夕方に行ったわよ。後回しにできない用事がある時に読み始めちゃダメよ。

レストランとビストロっていうのは違うものなのね。レストランは私が想像してる感じのフランス料理店ね。ナイフとフォークがいっぱい並んでて、大きなお皿に小さな料理がちょこんと出てくるイメージよ。ビストロはもっと気軽な感じみたい。ドレスコードもなく、ワインと料理を楽しむお店みたいね。私はどちらも行ったことがないけれど、本の中にレストランと定食屋みたいな違いと書かれててわかりやすかったわ。この本のいい所って知らない人間への説明が絶妙なのよ。おせっかい過ぎずに、さりげなく教えてくれるの。さすがよね。

私も行きつけのビストロがほしいって思って検索してしまったわ。正直田舎だからないだろうなって思ってたからヒットして驚いたわ。歩きや自転車で行けそうな場所に2件あったけど、ワインが飲めないから行く勇気がないわ。アルコールは嫌いだけどこういう時は本当にお酒を飲める人が羨ましい。ビール・焼酎・日本酒への憧れはないんだけど、ワインを嗜む人ってそれだけで洗練されてるって感じるもの。

別にワインや料理の説明の本ではないのよ。私が食いしん坊なばっかりに誤解させてしまいそうね。シェフは名探偵シリーズだから謎解きがメインよ。でも私の記憶では死人は出なかったはずよ。来る客が次々死んでいく飲食店とか怖すぎるもの。そういう血なまぐさい話ではなく日常の中の謎解きなのよ。

今回の本の中では「幻想のフリカッセ」が一番好きな話だったわ。簡単に説明してしまえば完璧なお母さんがダメ男を育ててしまう話ね。家事も料理も完璧にこなすお母さんが、成長した息子がよその家の食事や家事をバカにするようになって絶望して、最低限のことしかしなくなって最終的には夫と離婚するの。息子二人は大人になって働いてるし、ニートを育て上げたわけじゃないのよ。でも兄のほうは結婚相手としては致命的な感じね。お母さんだけのせいではないと思うわ。夫の日頃の言動を見ていた影響もあるでしょうし。家族のために家をキレイに整えたり手の込んだおいしい料理を作っていたのに、それが子どものためにならなかったなんて悲しいわよね。完璧ママ×口汚く罵るパパ=よその家庭をバカにするアホ息子っていう最悪の掛け算になってしまったのね。弟はまだしも兄のほうがね。「お母さんの作ってくれたあれが食べたいって頼んでも作り方を忘れたからレストランに行こうって言われた」って愚痴ってるの。大人なんだから自分で作ればいいじゃないのと腹が立ってしょうがなかったわ。

救いはね、お母さんはレシピを忘れたりはしてなかったの。弟が食べさせてあげたい人がいるから作り方を教えてほしいと頼んだら詳しく教えてくれたのよ。自ら動こうとする弟に少しは安心したんじゃないかしら。離婚して一人になったお母さんが自由で幸せそうなのもよかったわ。自分たちが愛されなくなったから手の込んだ料理を作ってもらえなくなったと思っていた弟が、それもまた愛情なんだと知れたのも良い終わり方だったわ。恵まれた環境を当たり前に与えられすぎるのも考えものねと思ったわ。私の文章だと上手く伝えられているか心配ね。今年読んだ中で一番おススメの本よ。ぜひご自分で読んでみてね。

間の悪いスフレ/近藤史恵【1000円以上送料無料】
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/10/17時点) 楽天で購入
https://amzn.to/408B4MG

コメント

タイトルとURLをコピーしました