みんなご存じトーベ・ヤンソンさんの本よ。ムーミンは知ってるけど、本をじっくり読んだのは初めてかもしれないわ。大昔に何となく読んだ記憶はあるんだけどね。その時にムーミンはカバじゃないと知って驚いたんだもの。
図書館に本を借りに行ったらね、フィンランドの紹介コーナーがあってそこに残っていた本だったの。「全集の9か~。」と思ったけど借りてきたわ。装丁と挿絵に心惹かれたからよ。表紙や中の挿絵も作者が描いたものなのかしら。味のある素敵な絵に心をつかまれたわ。私が知ってるムーミンとはなんか違うんだけどね。そしてどうやら物語の流れや訳者あとがきによると、この本が最初の一冊でいいみたいよ。うん、ついてるわね、私。自分の中のムーミンとの違いに戸惑いながらも本を開いたわ。
内容や登場人物はもっと記憶と違ったわ。主人公のムーミンに関しては「あー、こういう子だったわよね、あんた。」と思ったんだけどムーミンママは見た目も中身もかなり違ったわ。私の知ってるムーミンママはエプロンをしてた気がするの。でもこの本の挿絵のママは裸よ。裸という表現がムーミン一族にふさわしいとは思えないけど。いつも何かを身につけている人が何も身につけずにいると見てはいけないものを見てしまっている申し訳なさに似た気持ちになるわ。まぁ今回は旅に出てるからしてないだけかもしれないけど。でもハンドバッグは持ってたわね。ハンドバッグから家族が必要な物を出してくれるのは私が思っていた通りよ。ママの中身はね、ムーミンのママってこんな普通のママなのって思ったのよ。子どもを放って疲れて一眠りしたり、スニフにイラついたり、自分の都合で子ども達を急かしたり・・・。私の中では、ムーミンママはムーミン屋敷で家族の世話をしたり花を育てたりする優しくて頼りになる穏やかな理想のお母さん像そのものなイメージだったんだけど、だいぶ違うのね。頼りにはなるってとこはそのままだけど、子どもの前で泣いたり取り乱したりもするの。当たり前よね。ママだって生きているんだもの。ずっと平坦な感情でなんていられないわ。自分で勝手に抱いていたイメージのせいで「なんかいけ好かないやつ」って思ってあんまりムーミンママが好きじゃなかったんだけど今回この本を読んで好きになったわ。そしてお母さんでいる事って、そんなに気を張って頑張ることじゃないのかなって思えたの。
若い時の私はたしかスナフキンが好きだったと思うの。私は旅は好きじゃないけど自由は好きよ。私が喉から手が出るほどに欲しているものを当然のように手にしている彼には今でも憧れるわ。残念ながら今回の話にスナフキンは出てこないの。でも旅を愛する上位互換(下位互換?)のようなニョロニョロは出てくるわ。はてニョロニョロ達のは旅なのかしら。旅と放浪の違いはなんなのかしらね。スナフキンは寒くなると南へ行き、暖かくなるとムーミン谷へ帰ってくる。対してニョロニョロは目的は不明でひたすらさまよい続けている感じよね。スナフキンは自由でありながらムーミン一家や様々な人と関りを持ち続けているけど、ニョロニョロには社会との接点も見当たらないのよ。そこもまたニョロニョロの不気味なところなのかもしれないわね。
でもそんなニョロニョロに憧れる気持ちも出てきたわ。スナフキンみたいな程よい自由って加減が難しいんだもの。コミュ障の私にはハードルが高いわ。人嫌いなのに人との接点を断っては生きられない弱い自分が嫌なのよ。そこのさじ加減でいつもすごく疲れるの。スナフキンは旅に出てもムーミン達を思い出したりするでしょう。でもニョロニョロは残してきた誰かを思い出したりはしないんじゃないかって思うのよ。私はニョロニョロに詳しくないから、これ全部ただの想像よ?想像だけど私は家族のご飯も家事も仕事も全部ほったらかして遠くに行きたいのよ。自分が今心から楽しいと思ってしてることなんてヤモのお世話と読書くらいよ。ニョロニョロくらい振り切れたらすっきり生きられそうって思うのよね。それに登場人物紹介の絵のニョロニョロがひなたぼっこしてるヤモに似てるのよ。何を考えているかわからないミステリアスなとこも似てるわ。やっぱりうちのヤモは天使なんだと思うわ。
こんな感想が出てきたのって私が年をとったからなのかしら。大昔に読んだ記憶のママは完璧なママだったしスナフキンはかっこよくて憧れでニョロニョロは不気味だったもの。子供向けの本かもしれないけど大人になってから読むのもいいと思うわ。自分の内面の変化によって感想も得るものも変わるものね。「天使なんかじゃない」の翠ちゃんのパパの「良い絵本は大人が読んでもおもしろい」って真実だと思うわ。これは絵本じゃないけどね。滅多に読み返さないから新しい本を買うのは躊躇しがちなんだけど集めようかな~って悩んでるわ。でも私講談社のムーミンなら青い鳥文庫も好きなのよ。たしかムーミン谷の11月?を持っていたはずよ。でも本棚にないから子どもが持ち出しているのかもしれないわ。思い出したわ。あの時も集めてみようかなと思って買って読んでみてムーミン一家がいっさい出てこなくて「???」て思いながら読んだわ。ムーミン谷の11月が一番最後みたいね。私が言うのもおかしな話だけど順番に読んだ方がいいわよ。話がわかりやすいと思うわ。青い鳥文庫の水色のカバーが好きなのよね。絵もなじみのあるムーミンよ。今は値上がりしているかもしれないけど単行本よりはお手ごろだと思うわ。大人向けの文庫本より紙が分厚いのも好きなの。だけど装丁の美しさは文庫本に勝ち目はないわね。小さくて軽いから持ち運びは便利だけどさ。読んだ事のない人はもちろん、ある人も読み直してみることをおススメするわ。世界中で長く愛され続けるのは理由があるってわかるわよ。
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